日本銀行が、追加金融緩和でマイナス金利をさらに引き下げた場合、金融機関の利益が数千億円減少するとの内部試算をまとめたことが5日、分かった。大手銀行よりも地方銀行や信用金庫の方が、金利低下の打撃を大きく受けることも判明。利下げは容易ではないことが改めて確認された。
関係者によると、試算は3月に公表した金融政策点検の一環で実施した。試算の公表も検討したが、利下げの負の側面に焦点が当たり、数字が独り歩きする恐れがあるとして見送った。日銀は試算を踏まえても、利下げは景気悪化に対処する有力な選択肢だとの見解は変えていない。
短期金利を現在のマイナス0.1%からマイナス0.2%に「深掘り」した場合などを想定し、金融機関の貸出金利や収益への影響を試算した。短期金利が低下すれば企業や家計向けの貸出金利も下がり、大手行や地域金融機関の利息収入が合計で数千億円減る。
大手行と比べて地域金融機関の打撃が深刻なのは、海外事業の比率が低く、国内の金利下落の影響をより大きく受けるため。2020年3月期の全上場地銀の最終利益合計は7700億円に満たない。大手銀行5グループは約2兆円だった。
日銀は3月、追加緩和による金融機関への影響を和らげるため、政策金利の引き下げに連動して金融機関への補助金を増やす仕組みを導入した。ただ、補助金の対象は新型コロナウイルスに対応した融資などに限られ、金融機関の収益悪化を和らげる効果は限られる。
日銀関係者は「新制度で金融機関の収益悪化に一定の配慮をした」と説明する。ただ、大手証券のアナリストは「金融機関への打撃が上回り、日銀にとって追加緩和が難しい状況に変わりはない」と指摘する。
追加利下げで数千億円減益 日銀試算、地銀・信金に影響大 - SankeiBiz
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