新型コロナウイルスの全国の感染者数は、緊急事態宣言が解除された前後から増加する傾向で、すでに感染拡大の第2波のピークの水準を超え、第3波で拡大が始まった去年11月上旬と比べるとおよそ2倍となっています。
これまでの感染拡大では拡大が始まった時点での感染者数の水準が高いほど、その後のピークの人数も多くなる傾向が見られ、今後、重症者数も増えることが予想されることから、専門家は早めに病床確保など医療体制の整備を進める必要があるとしています。
日本国内では新型コロナウイルスの感染拡大は、去年の3月以降の第1波、去年7月以降の第2波、そして去年11月ごろ以降の第3波の3回起きていますが、それぞれの波では、感染者数の減少が下げ止まった際の感染者数が徐々に多くなっています。
それぞれの感染拡大の波について見ると、第1波では去年5月25日に全国の感染者数が21人まで減ったあと、6月下旬までは50人から100人ほどで推移しましたが、その後、第2波となり、8月7日の1605人がピークとなりました。
第2波では去年9月23日に全国の感染者数が219人まで減ったあと、11月上旬までは数百人から1000人ほどで推移しましたが、その後、第3波となり、ことし1月8日の7949人がピークとなりました。
これまでの感染拡大では、拡大が始まった時点の感染者数の水準が高いと、その後の感染のピークの人数も多くなっています。
第3波では今月8日に全国の感染者数で600人にまで減ったあと、1000人前後で推移してきましたが、現在の感染者数は29日までの1週間で前の週を上回ったのが36の都府県となるなど、すでに全国で2000人近い水準で第2波のピークの水準を超えて、第3波で拡大が始まった去年11月上旬に比べてもおよそ2倍となっています。
また、これまでの感染拡大では、医療体制への負荷が大きい重症者の数は、感染者数がピークになったあと、20日前後でピークになるなど、感染者数の増加に遅れて増える傾向が見えます。
重症者数は先週までは減少傾向でしたが、今月29日では1月下旬以降初めて、3日連続で増えていて、専門家は早めに病床確保など医療体制の整備を進める必要があるとしています。
政府の分科会のメンバーで日本感染症学会理事長の東邦大学舘田一博教授は「感染者数の水準が高いと、その後の感染の波が大きくなる傾向が見えている。たとえば、東京で1日の感染者が300人台で推移している状況は非常に多い水準だ。ここから感染が本格的に増加に転じれば、さらに大きく拡大する恐れがある」と指摘しました。
そのうえで、「いまのうちに、感染リスクの高い地域で無症状者を対象に積極的に検査を行うなど、市中にある隠れた感染源を見つけて対処することが必要になる。いま感染者の増加が起きている地域では今後、重症者が増えることを想定し、病床の確保など医療体制の整備を進めておかないといけない」と話しています。
感染拡大開始時の感染者数水準高いほどピーク人数多い傾向|NHK 首都圏のニュース - NHK NEWS WEB
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