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Saturday, June 26, 2021

線状降水帯「ここ数年で巨大化」九州今後も高まるリスク - 西日本新聞

小松利光・九州大名誉教授に聞く

 昨年7月に九州を襲った記録的豪雨は、積乱雲が帯状に連なって次々と雨を降らせる「線状降水帯」が原因だった。現地調査に当たった九州大の小松利光名誉教授(防災工学)は温暖化で線状降水帯の規模が大きくなりつつある上に、九州は地理的特徴から被害が大きくなりやすく「受難の時代を迎えている」と指摘する。教訓や対策を聞いた。

   ■    ■

 九州北部に梅雨前線が停滞していた昨年7月3~4日、大規模な線状降水帯が発生した。球磨川流域の24時間雨量は最大700ミリ近くに及び、熊本県人吉市ではこれまでの最高水位を2メートル以上超えてあふれ、同県球磨村や八代市でも大きな被害が出た。7月5~8日にも再び大規模な線状降水帯が発生し、1953年の西日本水害以来67年ぶりに筑後川本川の水が氾濫した。

 これだけの被害をもたらした主な原因の一つは、線状降水帯の規模が大きかったことだ。球磨川流域では7月4日に線状降水帯が6時間以上にわたって覆い続けて大量の雨を降らせた。

 線状降水帯はここ数年で、長さや幅が巨大化しているように感じる。例えば2017年の九州豪雨は局所的な雨だったが、18年の西日本豪雨はやや広域化し、昨年の豪雨も規模が大きかった。背景にあるのは温暖化だ。日本近海の海水温は地球の全海洋の平均よりも、2~3倍速いペースで温暖化が進行している。

 そもそも九州は不利な環境にある。日本で最も西に位置するため、東シナ海などからの大量の水蒸気を含んだ暖かい空気が真っ先に流れ込む。さらに九州は南北に九州山地が走り、ここが分水嶺(れい)となって西側に降った雨は西九州に、東側の雨は東九州に流れる。このため九州の1級河川の流域は筑後川や大分川など東西に細長い形をした河川が多い。線状降水帯も東西に伸びて発達するため、規模が大きくなれば1級河川の流域をすっぽりと覆い、昨年の豪雨と同じような大水害を引き起こすことになる。

 どうすれば被害を減らせるのか。私は普段は水をためず、洪水時だけ貯水する「流水型ダム(穴あきダム)」に注目している。貯水型ダムはためた水の水質が悪化して河川に流れるため、環境への負荷が大きくなる。一方、流水型ダムは下部に排水口を設けるので、通常時は水はたまらない。水質は悪化せず、魚の遡上(そじょう)や土砂の流出も妨げない。

 実際に球磨川支流の川辺川でも流水型ダムの建設が検討されている。ただ、流水型ダムは自然放流方式で治水効率が悪い。この欠点を補うため、川辺川では、通常時は流水型で、洪水時は排水口を閉じて貯水型として機能させる「ハイブリッド型」にしてはどうか。

 流水型ダムは本来、中小河川に設置するような小型が適している。九州の各地でも山間部でできるだけ水をためるため、小型の流水型ダムを数多く、効率よく配置してネットワーク化させるべきだ。私が視察したオーストリアの流水型ダムは、普段は土で覆われていて、ただの丘にしか見えず、自然に溶け込んでいた。

 豪雨のリスクは今後さらに大きくなる。九州の住民は「受難の時代」を迎えつつあると自覚し、対策を強化する必要があることをぜひとも知ってほしい。

 (聞き手は御厨尚陽)

 線状降水帯 次々と発生する積乱雲が帯状に連なる気象現象。積乱雲は通常は1時間で衰退するが、連続発生して集積することで豪雨となる。幅は数十キロ、長さは数十から数百キロにわたる。日本気象学会によると、1995~2009年の4~11月に全国で発生した集中豪雨261件のうち、約3分の2の168件で確認された。

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