宮城県議会本会議場の傍聴席が、約1割の18人しか座れない状況が1年以上続いている。新型コロナウイルス対策の一環だが、東北の他の県議会と比べて席の少なさは群を抜き、傍聴者が入り切れない日も。飲食店への時短営業要請が全県で解除された後も漫然と措置を継続し、生の論戦を見てもらおうという議会の積極的な姿勢は乏しい。
23日の6月定例会一般質問。県が上下水道と工業用水の20年間の運営権を民間に一括売却する「みやぎ型管理運営方式」などを巡る議員と当局の一問一答を、178席の傍聴席で10人ほどが見守った。
前から2、4列目に座れる席が指定され、席間はたっぷり余裕がある。「みんな黙って聞いているし、もっと間隔を詰めて大丈夫だと思う」と40代女性。やりとりを見たくても、席に座れないのを見越して来ない人もいると推測した。
東北6県議会の傍聴席の対応は表の通り。注意喚起にとどめる青森以外の5県は席を間引きするが、宮城の10・1%は突出して低い。
各県の議会事務局によると、全国に緊急事態宣言が出された昨春以降、席数制限を始めた。当時の政府指針などを参考に、席間を1~3席空け、離れて座るように席を指定。議会棟の別室やホールにもモニターを設け、議事を確認できるようにした。
宮城は昨年5月の臨時会から前後左右の間隔を2メートル確保したため、特に座席が少なくなった。青葉区の酒類提供店への時短要請が解除された6月14日の議会運営委員会で議員の1人が問題提起したが、事務局が「感染状況を踏まえて検討する」と答えただけで、具体的な検討には至らなかった。
他県は見直しも
見直した県議会もある。福島では昨年の6、9月定例会で約2メートルを目安に3席ずつ空けて56席(収容率25・2%)に制限したが、11月臨時会からは2席間隔に緩和した。担当者は「感染者数の動向を見ながら、以前の形に戻していけるよう議長と話した上で議運に諮って決めている。今後も必要に応じて検討したい」と話す。
昨年の宮城県議会9月定例会では、東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に向けた地元同意の議論が活発に交わされた。反対派住民の多くは傍聴席に入れず、「締め出しだ」と憤った。
議会事務局によると、傍聴者が入り切れなかった本会議は今年の2月定例会までに5日以上あったという。
現状を視察した仙台市民オンブズマン代表の畠山裕太弁護士は「ここまでの対策を続けるのは過剰。知る権利、傍聴の自由といった県民の大事な権利が妨げられないよう、訪れる人が増えれば柔軟に対応してほしい」と指摘する。
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宮城県議会 傍聴できない 席数1割に制限、「過剰対応」の指摘 - 河北新報オンライン
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