新型コロナウイルスの自宅療養者が全国で10万人を超えることが明らかになった中、埼玉県が、1万人前後に上るとみられる県内の自宅療養者の数を公表できない異常事態となっている。感染者の急増で、自宅療養者の健康観察を行う「宿泊・自宅療養者支援センター」が機能不全に陥り、自宅療養者を過大計上していたことが判明したからだ。県は、新規の健康観察は保健所に担わせることにしたが、保健所からは「もともと業務過多なのに、さらに負担が増える」と悲鳴が上がっている。
県内の自宅療養者数は23日夕時点で1万8674人に上っていた。
だが、県は24日夜、センターが療養終了者の数を保健所に報告することを怠っていたため、その分が自宅療養者数から差し引かれず、過大に計上されていたと発表。過大計上は「8000人程度」(県幹部)に上り、県は当面、自宅療養者数の公表を見送るとした。
感染者の増加で保健所の業務負担が重くなったことから、県は7月にセンターを設置。健康観察などセンターの業務は東京都内の訪問介護事業者に委託した。自宅療養者について、昨冬からの感染の「第3波」の2倍にあたる最大約4600人と想定して、看護師約50人体制で健康観察などを行うことになっていた。
ところが、7月末から感染者数が1日で1000人を超えるようになると、県に自宅療養者の療養状況を報告する日報が届かなくなり、療養終了者数も保健所に報告されなくなった。
自宅療養者数という、コロナ医療政策の決定に関わる数字が正確にわからないままという事態になったが、大野知事は27日、記者団に「自宅療養者数が仮に半分であろうと、倍であろうと、限界を振り切っている状況は変わらない。現時点で取るべき対応は変わらない」と述べた。
25日には、同センターが健康観察を行っていた、自宅療養中の男性(70歳代)が死亡していたことも判明した。同センターは1日に4回、療養者宅に自動音声による電話をかけ、体温や血中酸素濃度などを答える形で行っていた。県によると、男性からは17~23日に回答が確認できなかったが、センターは直接の連絡や、保健所と連携した安否確認を行っていなかった。
同社の担当者は取材に「業務が
県はすでに、新規の健康観察業務は保健所に行わせている。これに対し、ある保健所長は「センターができて業務が軽減されるはずだったのに、また保健所が担うことになるのは非常に厳しい。正直言って手が回らない」と頭を抱えた。
1万人前後の自宅療養者数、県が公表できず…支援センター機能不全で過大計上 - 読売新聞
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