設計者の時計作りの哲学や最新技術が反映
腕時計のスペックに書かれている「振動数」というワード。目にはするけど、いったい何を意味するのはわからない、という方も多いのではないでしょうか。実は、振動数は時計の性能を知る大切な指標なのです。
機械式時計に関する記事やカタログに、スペックとして書かれているムーブメントの振動数。この「○○○○振動/時」という標記は、何を表している数字なのでしょうか。また「ハイビート」「ロービート」という表現には、どんな意味や価値があるのでしょうか。
実はこの話題、かなり奥が深いのです。そこで今回はまず、振動数とは何か?について解説します。
振動している部分はドコ?
(イラスト:林田秀一)
機械式時計の精度を決める要であり、心臓とも言えるのが、ムーブメントの中の脱進調速機という部分です。機械式時計の動力源は香箱の中の主ゼンマイ。この帯状のゼンマイが解けるときのエネルギーで動きます。
ただ、ゼンマイはそのままだと一気に解けてしまうので、ゆっくりと解放して、針の動きに変える仕組みが必要です。しかも時計の場合、針が動くスピードは、いつも一定でなければなりません。
そこで何百年もかけて開発されたのが、現在の脱進調速機です。アンクルというカギ型のレバーとガンギ車という歯車で構成される「スイスレバー式」と呼ばれる脱進機。そしてテンワという丸い金属の輪と、その中にセットされたヒゲゼンマイで構成されるテンプを使った「環型」の調速機。このふたつの機構を合わせて脱進調速機と呼びます(詳しくはこちらから)。
脱進機の役割は、主ゼンマイを少しずつ解いて、そのエネルギーで時計を長く動かすこと。そして調速機の役割は、脱進機からエネルギーを受け取って、歯車輪列(針を動かす役割をするいくつもの歯車)や針を常に一定のスピードで正確に動かすことです。
知ると奥が深い「腕時計の振動数」が意味すること - 東洋経済オンライン
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