地球の自転が遅くなる理由
酸素濃度と自転速度の関係の前に、まず地球の自転が遅くなる理由を説明しよう。 地球の歴史において、1日の長さはこれまで大幅に伸びてきた。30億年以上前の地球では、1日はわずか6時間程度だったとも言われる。現在、1日が約24時間となっているのは、長い時間をかけて地球の自転が遅くなってきた結果だ。 その変化は潮の満ち引きと関係している。海のそばで1日過ごしたことがある人はおそらく、海岸で潮が満ち引きする様子を見たことだろう。あの一見穏やかな動きは、地球と月の間に生じる巨大なエネルギーから生まれるものだ。その結果、海に潮汐が生じて海水と海底との間に摩擦が生まれる。いわゆる「潮汐摩擦」だ。 潮汐摩擦は地球の回転エネルギーを奪うため、自転の速度が遅くなり、1日が長くなる。このプロセスは、何億年もかけて非常にゆっくりと進行するせいで、1日の長さの変化は容易には観測できず、また海底の地質記録を追跡するのも困難だった。 「5億5000万年前の地球の自転速度については、かなり確かなことがわかっています。というのも、貝にある成長線から1日の長さがわかるからです」と、米プリンストン大学の惑星科学者クリストファー・スポルディング氏は言う。「しかし問題はそれ以前の、サンゴや貝が存在しない時代です」 そんな太古の昔の地球の姿については、「モデルを使って検証を行います」と、米カリフォルニア工科大学の惑星科学者ウッドワード・フィッシャー氏は言う。「日長は規則正しく変化してきた歴史があり、その変化の方向性も把握しています。ただし、細かいことについてはあまり多くはわかっていません」 地球の自転速度を再現するモデルは数多く存在するが、1980年代末から用いられてきたあるモデルによると、1日の長さは着々と伸び続けた後、25億年ほど前に約21時間で安定し、その後は数十億年にわたってさほど変化しなかった。 そのころ、地球の自転速度は「共鳴ロック」と呼ばれる平衡状態に到達していた可能性がある。地球の自転に影響する力には、実は速度を速めるものもある。太陽が地球の片側をより多く加熱して、海や大気を膨張させると、地球の自転をわずかに前進させる力が働く。この力が自転を遅らせる力と釣り合う「魔法の自転速度」に到達すると、その後はかなり長い間変化が見られなくなる。 そして、クラット氏らが今回の研究でこのモデルを使用したところ、1日の長さと酸素濃度の変化がほとんど重なったのだ。「酸素のパターンと自転速度の類似を見たときは、非常に興奮しました」とクラット氏は言う。
20数億年前に地球の酸素急増の謎、1日が長くなったから? 驚きの新説(ナショナル ジオグラフィック日本版) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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