将棋の藤井聡太7冠(竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖=21)が全8冠制覇を目指して永瀬拓矢王座(31)に挑戦する、将棋の第71期王座戦5番勝負第2局が12日、神戸市「ホテルオークラ神戸」で行われ、後手の藤井が214手で勝ち、シリーズ対戦成績を1勝1敗のタイに持ち込んだ。タイトル戦での連敗「0」も継続。史上初の全8冠制覇へあと2勝とした。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(83)が対局を振り返ります。

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藤井竜王はホント、タイトル戦で連敗しませんね。尊敬に値します。慎重な試合運びでした。特に、右玉に構えながら、「入玉してしまえば戦える」とばかりにさっさと逃げてしまうあたり、さすがでした。

後手番で角換わりは、棋聖戦と王位戦で佐々木大地七段と戦った時の作戦を改良し、盤上でうまく表現していました。特に永瀬王座が1筋から長距離砲の角を自陣に打ったのに対し、後手5二金(102手目)とした受けが光りました。

対する永瀬王座は、先手4一金(121手目)が敗着です。見応えのある大熱戦でしたが、これで攻めが続かなくなりました。先手4四馬と引いて後手3三金と、藤井竜王が攻めに使いたいはずの金を受けに使わせれば、戦えたと思います。

改めての3番勝負。開幕局は不覚を取りましたが、藤井竜王は気合が入ると思います。引き続き熱戦に期待しましょう。(加藤一二三・九段)