香港の民主派新聞「蘋果日報(アップルデイリー)」の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏の顧問は、同紙が「数日内」にも事業停止に追い込まれる恐れがあるとBBCに明らかにした。
香港と中国の政府に批判的な論調をとるタブロイド紙のアップルデイリーをめぐっては、香港当局が先週、関連3社の資産計1800万香港ドル(約2億5000万円)を凍結した。
黎氏のマーク・サイモン顧問は、同紙の状況について、「すべての銀行口座が機能しておらず、その間は何もできない」とBBCに語った。
「資金がなければ何も発注できない。何より、経費を払うため現金の出し入れができないと、支払いを約束できない。これは香港では違法だ」
「新聞は今日はまだ売店に置かれている。だが、銀行口座の凍結が解除されなければ、数日のうちになくなってしまう」
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アップルデイリーの発行会社「壱伝媒(ネクスト・デジタル)」は21日に取締役会を開き、同紙の今後について協議する。
アップルデイリーは20日、手元資金では「数週間」しか通常の事業を続けられないと明らかにしていた。
アップルデイリーに強権発動
警察は同紙の編集局長と他の幹部4人をそれぞれの自宅で逮捕。さらに、同紙の関連企業3社の資産を凍結した。
アップルデイリーのオンライン版は、警察が記者のコンピューターを調べる場面の写真を掲載した。
警察は声明で、令状によって「報道関連物の捜索と押収が許可されている」と説明。
同日の記者会見で警察は、アップルデイリーが2019年以降、諸外国に対して香港と中国大陸への制裁を呼びかける記事を30本以上掲載したと主張した。
創業者の個人資産も
黎氏は香港の民主化運動を支持する著名人の中で、極めて知名度が高い。
資産は10億ドル以上とされる。衣料品業界で財を築いた後、ネクスト・デジタルを創業し、メディア業界に参入した。
今年5月には、黎氏の個人資産を当局が凍結。銀行口座のほか、時価総額4500万ドルとされるネクスト・デジタルの株71.26%などが含まれている。
銀行大手のHSBCとシティバンクには、香港の治安当局トップから通知が届いた。香港で黎氏の口座に絡む取引があった場合、最長7年の刑が科せられると脅す内容だった。
黎氏は刑務所に収監される前の最後のBBCとのインタビューで、脅迫には屈しない決意を述べていた。
「恐怖心を呼び起こすのは、誰かを操作するうえで最も卑劣で最も効果的な方法で、当局側はそのことを知っている。脅迫に打ち勝つ唯一の方法は、恐怖に向き合い、それにおびえないことだ」
標的となった背景
実質的に香港の法的自治を縮小し、デモ参加者の処罰を容易にするものだった。香港独立の動きや転覆行為、外国勢力との結託などを犯罪とし、最も重くて終身刑を科すとした。
同法について、中国政府は「暴動」対策だとし、社会の安定をもたらすとした。しかし批判的な立場の人たちは、1997年のイギリスによる香港返還時の合意に違反する内容だと主張している。
国安法が昨年6月に施行されて以降、100人以上が逮捕されている。
(取材:BBCピーター・ホスキンズ記者)
香港紙アップルデイリー、「数日内」にも事業停止と顧問が懸念 - BBCニュース
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