日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建設工事を巡る背任事件で、日大が100%出資する株式会社「日本大学事業部」(世田谷区)の取締役を務める日大理事が、業者との設計契約に絡み、不正に数億円を流出させた疑いがあることが関係者の話で分かった。東京地検特捜部はこの理事の兵庫県芦屋市内の自宅や杉並区内の親族宅もすでに捜索、資金の流れの解明を進める。
関係者によると、大学側は2020年、老朽化した同病院の建て替え工事の設計業務について、日本大学事業部を介し、都内の設計事務所に20数億円で発注。このうち数億円が不正に流出し、大学側に損害を与えたとみられる。
10年に日大が出資して設立された日本大学事業部は、日大の不動産事業や施設の管理・運営事業などを手掛け、同社関係者によると、施設の工事契約業務も担っている。
この理事は約10年前から同社業務に携わるようになり、19年12月には取締役に就任。この間、取り扱う業務の対象が大きく広がった。
大学教員の1人は「備品や出張経費、自動販売機の飲料水まで一手に引き受けるようになっていた。事務方から『すべての物品購入は事業部を通せ』と強く言われ、かえって費用が高くついていた」と明かす。
民間信用調査会社によると、同社の売り上げは昨年度約68億円で、過去5年で4倍以上に伸びた。
この理事は、日大の田中英寿理事長の側近とされる。特捜部は、杉並区内の田中理事長の自宅も家宅捜索した。
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日大理事、株式会社「日本大学事業部」を介し数億円を不正流出か 病院工事巡り - 東京新聞
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