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Wednesday, November 3, 2021

数十兆円の経済圏を構築、「FacebookからMetaへ」10の疑問 - ITpro

全6270文字

 「メタバースはインターネットの新しいチャプター(新章)だ」――。米Facebook(フェイスブック)の共同創業者でCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は2021年10月28日(米国時間)、同日開催のオンラインイベント「Facebook Connect 2021」でこう宣言し、社名を「Meta(メタ)」に変えると明らかにした。同社が近年注力しているメタバース事業から新たな社名を取った。社名まで変えることで、従来のSNSを中心とした企業からメタバース企業へ変貌を遂げると対外的に強くコミットしたかたちである。今後10年以内に、メタバース人口(利用者)を10億人にし、数百万人の開発者やクリエーターの雇用を支えられるような、数千億米ドル(数十兆円)規模の電子商取引(デジタルコマース)を行う経済圏を構築することを目標に掲げる。そんな壮大な野望を持つメタは、今回のイベントでどのような方策を発表したのか。10の項目でまとめた。

「Facebook Connect 2021」で社名変更を話すザッカーバーグ氏

「Facebook Connect 2021」で社名変更を話すザッカーバーグ氏

(出所:公式動画をキャプチャーしたもの)

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Q1:そもそもメタバースって何?
Q2:今回のイベントで発表したメタバース事業の施策とは?
Q3:どんな娯楽アプリを楽しめるの?
Q4:仕事用アプリはどのようなものがある?
Q5:フィットネス関連ではどんな発表があった?
Q6:アプリ開発者やクリエーターに向けた支援は変わる?変わらない?
Q7:Presence Platformの開発ツールで何ができるか、もう少し知りたい。
Q8:新たに発表したVRヘッドセットの特徴は?
Q9:メタバースでなんでもやり取りするようになると、プライバシーが気になる。 Q10:これまでのSNSアプリや対話アプリはどうなる?

Q1:そもそもメタバースって何?

 メタバース(Metaverse)とは「超越」を意味するメタ(meta)と「宇宙」を意味するユニバース(universe)を合わせた造語で、インターネットやコンピューター上に構築された仮想世界を意味する。メタはメタバースを「現在のさまざまなオンライン上でのソーシャル体験を掛け合わせたようなもの」としている。すなわち、人々の交流に重きを置いており、現在主軸のSNS事業の延長線上にある。実際、ザッカーバーグ氏は今回のイベントで、「人々をつなぐのが我々のDNA」とし、Facebookをはじめとする現在のSNS事業とメタバース事業は同じ目的の上に成り立っていると説明した。

 メタが描くメタバースは、VR(Virtual Reality、仮想現実)のようなすべてがコンピューターグラフィックス(CG)でできた仮想空間だけにとどまるわけではなく、現実空間にも投影されるとしている。すなわち、仮想物体(CG)を現実空間に重ねて表示するMR(Mixed Reality、複合現実)やAR(Augmented Reality、拡張現実)も含めて、メタバースとしている。VRとMR、ARといった、いわゆる「XR」を発展させることで、離れた場所にいる人と同じ体験に没頭したり、現実世界では不可能なことを一緒に体験したりできるようになるとする。メタはVRとARにこれまで注力してきた。今回のイベントでは新たに、MRに向けた施策を発表している。

Q2:今回のイベントで発表したメタバース事業の施策とは?

 メタはさまざまな案件を発表したが、集約すると次の4つになる。アプリ(機能)の拡充、開発者の支援、新型ハードウエア、プライバシー保護である。アプリはさらにエンターテインメント(娯楽)、ビジネス(仕事)、健康、教育の4つに大別できる。

 今回、アプリにアクセスするためのホーム画面を刷新して「Horizon Home」にすることを明らかにした。現在、VR用ヘッドマウントディスプレー(HMDあるいはヘッドセット)をスタンドアロン型の「Quest 2」1機種に絞っている。そのQuest 2を起動して最初に表示されるホーム画面がHorizon Homeだ。これまで「Home」と呼んでいたもので、ソーシャル機能を拡充し、名称を改めた。例えば、友人を呼んで遊んだり、一緒に動画を鑑賞したり、仲間とゲームに参加したりできる。加えて、Horizon Homeを「自室」のように感じてもらえるように、空間のカスタマイズを可能にするという。

「Horizon Home」の例

「Horizon Home」の例

(出所:公式動画をキャプチャーしたもの)

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 フェイスブックの時代から、同社はアバターを通じてユーザー同士が交流できるソーシャルVRのプラットフォーム(基盤)として「Horizon」の開発を進めており、20年8月にベータ版の募集を開始した。21年10月には「Horizon Worlds」として名称を改めた。メタバース基盤の初期段階のものという位置付けである。このHorizonブランドをさまざまな機能の名称に付けることで、メタバース関連のサービスに統一感を持たせている。前述のHorizon Homeがまさにその例で、Horizon Worldsにおける「自宅」、あるいは自室という位置付けになる。

Q3:どんな娯楽アプリを楽しめるの?

 メタが長年取り組んでいるのがゲームアプリである。このうち、最大のヒット作がVRリズムゲーム「Beat Saber」だ。同社以外のVRプラットフォームでも販売しているが、メタのQuestプラットフォーム上だけで、累計1億米ドルの売上高に達したことが今回のイベントで発表された。なお、メタは同ゲームを開発した米Beat Games(ビート・ゲームス)を19年11月に買収済みである。

 今回のイベントでメタは、米Rockstar Games(ロックスター・ゲームス)の人気アクションゲーム「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」のQuest 2版を開発中だと明らかにした。他にも、人気ゲームを準備中だと発表するなど、鼻息は荒い。

 このほか、コンサートやスポーツなどのイベントを友人と楽しむ「Venues」機能を、Horizonに統合して「Horizon Venues」と改称した。21年11月上旬には、米プロバスケットボールNBAの試合を観戦できるようになるという。

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